インターネット医科大学での医療相談を通じて21世紀の医療を考える
No.4(最終回) 21世紀の医療とインターネット
インターネット医科大学 学長
岡山大学大学院医歯学総合研究科 生体情報医学 助教授
越智 浩二
私がインターネットにはじめて接したのは1996年でしたが、その時インターネットは産業革命に匹敵するほど革命的な動きと思いました。そして、医療もインターネットを利用していかなければ、取り残されると実感し、医療、医学へのインターネットへの応用という観点から種々の実験的な試みを行ってきました。その一つがインターネット医科大学ですが、インターネットの潜在能力から考えると、メールでの医療相談はその能力のほんの一部を用いているに過ぎません。21世紀の医療におけるインターネットの果たす役割は更に大きなものとなるでしょう。私自身は消化器内視鏡を専門としていますが、現在、インターネットを用いた医療、医学で行っている試みを2、3お話します。現在の内視鏡検査は電子内視鏡を用いることが主流で、内視鏡画像を電子信号として取り出しやすいメリットがあります。
大学病院などの大きな病院は院内LANを用いて、処方や検査をオーダーするシステムがあります。院内LANにより外来や病棟の端末が結ばれているわけです。この院内LANを用いて、内視鏡画像を外来や病棟でみることができるシステムを開発しました。具体的には内視鏡画像をWebサーバに蓄積し、院内の端末のブラウザーでみるシステムです。これまでの画像をみるためにシステムは非常に高価であり、なかなか導入できませんでしたが、院内LAN、インターネットの技術、知識、オーダリングシステムの端末の利用により、サーバ1台と配線のみで、外来、病棟、カンファレンスルームから内視鏡画像がみることができ、患者への説明、治療方針の決定に有用なシステムとなっています。
これは、内視鏡画像をインターネット上で供覧できるシステムで、このシステムでは岡山大学で行った内視鏡検査の画像や関連病院で行った内視鏡検査の画像をインターネット上で供覧できるものです。開業医から内視鏡検査を紹介された場合にも、このシステムを活用すれば、紹介医も患者の内視鏡画像をインターネット上で見ることが出来ます。(イメージ1)
また、このシステムは遠隔地にいても、内視鏡画像をみることが出来るため、インターネットの掲示板やチャット機能を応用すれば、遠隔地内視鏡画像カンファレンスが可能です。このシステムを用い、岡山県内、および愛媛県内の病院と実際に内視鏡画像の症例検討会を開催しました。(イメージ2)
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イメージ1 インターネットを用いた 内視鏡画像供覧システム | イメージ2
インターネットを用いた 遠隔地内視鏡画像カンファレンス |
院内LANやインターネットを用いた内視鏡画像供覧システムはいずれも静止画です。現在のインターネットの速度では内視鏡画像の動画はなかなか転送できません。しかし、今後インターネットへの接続速度が向上すれば、内視鏡画像の動画として送れる可能性があります。岡山県情報ハイウエーという高速の光ファイバーを用いて、現在実験的に動画画像を岡山県の真庭郡の勝山病院と岡山大学病院との間でやり取りしています。現在このシステムで実用上問題のない範囲で動画の画像伝送が出来ることが証明されました。以上、インターネットを医療へ応用し、私どもが行ってきた新しい試みについて述べてきました。
これまで、4回にわたって21世紀の医療について考えてきましたが、現在医療は確実に変革する過程にあります。その変革の道具としてインターネットは非常に重要なものであることを強調して、私の稿を終えたいと思います。
教授プロフィール

【現職】
岡山大学大学院医歯学総合研究科生体情報医学 助教授 S55 岡山大学医学部卒業
H10/1月 岡山大学医学部臨床検査医学講座 助教授
岡山大学医学部附属病院中央検査部
副部長(併任、現在まで)
H13/4月 大学院大学改組により現職へ
【学会】
日本消化器病学会評議員
日本消化器内視鏡学会評議員
日本温泉気候物理医学会評議員
日本内科学会中国地方会評議員
日本臨床検査医学会中国・四国地方会評議員 など