インターネット医科大学
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教授からのメッセージ

インターネット医科大学での医療相談を通じて21世紀の医療を考える

No.1 インターネット医科大学と医療サイドと患者サイドのギャップ

インターネット医科大学 学長
岡山大学医療教育統合開発センター 教授
越智 浩二 プロフィール

医学の学問的知識は医学部の教授にはかないませんが、
こと医療に関しては第一線で活躍している医師や医療関係者も教授に負けないくらいの知識を有しています。

1997年4月に開設されたインターネット医科大学は、全国各地また海外の第一線で活躍している医師たちが教授や講師となり、一般の方からの医療相談はもちろん、医療関係者からの相談にもこれまで数多く応えてきました。医療相談に乗ることが医学を勉強する素晴らしい機会と考えている教授たちのボランティアで支えられている組織です。

これまでもインターネット医科大学の活動は、予想以上の反響があり、AVCC98年「公共ホームページ[good site]賞」を受賞するなど、多くのメディアに取り上げられてきました。その反面、インターネットの加速的な普及により、ネットを利用した医療相談を取り巻く様々な課題も浮き彫りになったことも事実です。

この度、インターネット医科大学は、引き続き無料医療相談の期待に応えていくため、アット・ニフティとの提携による新しいシステムに移行することとしました。

皆様には、ボランティアで医療相談に応えてくれる教授たちへの心配りを持って、相談していただきたいと切に願っております。このインターネット医科大学が、今後も皆様と私達との勉強の場として継続されるようご協力をお願い致します。


1997年4月、インターネット医科大学を設立した当初、この医科大学が21世紀まで続くとは学長自身まったく考えておりませんでした。設立当初はインターネットがやっと普及しだした時期であり、インターネットに接する機会を得て、インターネットは産業革命に匹敵する大きな改革だと認識しました。"医療もこれに乗り遅れてはならない。どうしたらインターネットを医療に応用できるか"という実験的な試みの一つとしてインターネット医科大学を設立しました。設立したといっても、自分のホームページの一部に"インターネット医科大学"というページを作り、個人的に親しい外科、精神科、脳神経外科の3人の医師にお願いし、私自身は学長と内科教授の二役で、4つの診療科で医療相談を開始しました。インターネット医科大学のネーミングは単なる医療相談ではなく、医師や医療関係者からも相談を受けるという意味で医科大学という名称にしました。また、同時に相談を受ける医療関係者をインターネット医科大学教授募集という形で公募しました。

僕自身としては実験的な試みであり、多分1〜2年の尻すぼみでつぶれるのではないかと思っていましたし、ここまで発展するとは設立当初は夢にも思っていませんでした。しかし、僕の思惑とは別に、教授の立候補が相次ぎ、一時は70名を超える教授陣を有し、1日500アクセスを超えるサイトに発展しました(2001年3月時点で診療科は43ですが、その事情についてはページに余裕があれば、記載します)。インターネット医科大学がここまで大きくなった理由は何でしょうか?一つは多数の診療科があることが挙げられます。つまり、多数の医療関係者が教授として立候補してきたことです。インターネット医科大学の教授という名称を使えること、希望すればインターネット医科大学の診察室にホームページをリンクすることが出来ることなどが教授の特典と思いますが、これらの特典はインターネット医科大学が大きなサイトになればなるほど、価値が上がります。一方で、サイトが大きくなることによる弊害も当然あります。それは医療相談件数の増加です。内科、脳神経外科、精神科などの一般的な診療科がその相談件数の増加のため、閉鎖せざるを得なくなりました。また、学長である僕自身が多忙の中、インターネット医科大学の事務局を行っておりましたが、事務局の仕事の増大もサイトが大きくなったため、生じてきました。また、真剣みが感じられない相談メールも増えてきました。

今回の@niftyとの提携の背景にはこのような事情があります。事務局を外部に委託することによる学長の事務の軽減、従来のメールを送るシステムからフォームで相談を受け付けるようにするなど、これまできわめて個人的な色彩の強かったサイトから、より組織化されたインターネット医科大学が誕生しました。新しいインターネット医科大学の評価はこれからでしょうが、少なくとも21世紀に向けて新しい姿にリフォームしました。


4年間にわたるインターネット医科大学での医療相談を行っていく中で、一番痛感したのは医療サイドと患者サイドのギャップでした。まず、主治医には遠慮して聞けないこと、主治医に対して不信感があることなどを医療相談するケースの多さです。主治医として患者に説明しているつもりであっても、患者サイドでは十分な理解が得られていない場合が多いということです。これは日常診療で患者さんを診ている僕自身、もしかすると説明不足があるのではと不安になります。できるだけ患者さんの診察待ち時間を少なくするため、要領よく診察を進めているのですが、それが一方で説明不足になっている可能性があるのです。患者さんの理解できるような言葉で十分に説明することが医療サイドとしては不足し、その穴埋めとしてインターネットの医療相談を行うのです。これはインターネットでの医療相談の存在意義の一つだと思っています。

一方で、メールで症状を書けば、診断が簡単にできると誤解している患者さんも多数います。症状と病気は1対1の関係であることはほとんどのないのが実情です。もし、症状と病気が1対1の関係であれば、医者は必要ではないし、現在のようなIT時代であれば、検索エンジンなどで症状を入れれば簡単に病名が出てくるでしょう。しかし、医療はそのようなものではなく、例えば、発熱を来す疾患は風邪などのウイルス感染症から、細菌感染症、内分泌疾患、悪性腫瘍、膠原病など、さまざまな疾患で起こります。図1に示すように、ある症状を呈して医療機関を受診した場合に、問診を行います。その上で、診察所見、検査所見を総合して診断を行います。メールでの医療相談では問診さえも、十分に行えないのが現状です。ましてや、診療の重要な位置を占める診察や検査所見がない医療相談に過剰な期待をかけるのは無理です。

医療相談でよくあるのは"貰った薬が効かないので、困っています。あるいは転院を考えています。"という相談です。しかし、ここでよく考えていただきたいのは"治療効果がないのも重要な医療情報だ"ということです。先ほど挙げたように微熱を来す疾患はたくさんありますが、頻度的には風邪などのウイルス感染症がもっとも多く、悪性腫瘍や膠原病などの頻度は少ないのです。問診や診察、検査で診断が確定しない場合には仮の診断を行い、その治療を行い、その治療効果によって診断を確定する場合があります。つまり、治療効果がないという情報は重要な情報として、次の診療に反映されるのです。このことを理解しておけば、医療相談をする前に、治療効果がないという情報を医療機関に知らせることがいかに重要であるかわかると思います。

もちろん、ここにも医療サイドと患者サイドのギャップがあります。医療機関も治療効果がないことは重要な情報であることを患者サイドに十分に知らせていないことにも問題があります。インターネット医科大学での医療相談が"このような診断、治療の過程を患者サイドが知る必要があるのでしょうか?"という問題があります。しかし、21世紀の医療は十分な説明を受けた上で、治療を選択する"インフォームド・コンセント"、また、自分の現在受けている医療を主治医以外の医療関係者から評価をしてもらう"セカンド・オピニオン"が一般的になると考えられます。つまり、これまでの主治医まかせの医療から、自分の受ける医療については主体的に関わっていく医療へ転換していくことでしょう。そのような環境で、医師の診断、治療過程をある程度知っておくことは賢い患者になるために必要なことだと思います。


インフォームド・コンセント、セカンド・オピニオンの詳細については次回以降に述べていく予定です。

No.2 インフォームド・コンセント 〜医療に主体的に関わる〜へ


教授プロフィール

【現職】
岡山大学医療教育統合開発センター 教授 S55 岡山大学医学部卒業
H10/1月 岡山大学医学部臨床検査医学講座 助教授
岡山大学医学部附属病院中央検査部 副部長(併任、現在まで)
H13/4月 大学院大学改組により現職へ

【学会】
日本消化器病学会評議員
日本消化器内視鏡学会評議員
日本温泉気候物理医学会評議員
日本内科学会中国地方会評議員
日本臨床検査医学会中国・四国地方会評議員 など
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