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no.0000000925

転移性脳腫瘍の予後についてお聞かせください。

相談: (31歳 女性)
65歳の父が転移性脳腫瘍と診断されました(肺がんからの)。1年程前に撮った胸部レントゲンや、その後撮ったレントゲンでも肺がんの指摘は受けず、2〜3日前から息苦しさと、足のふらつく感じ(右肩があがり、左肩が下がった感じで歩きます)、視野の狭窄を言い始め、脳神経外科を受診したところ上記の診断をされました。

5〜6個脳に転移が認められるとのことです。先生の考えられる今後の検査、治療の方法、予後(転移性脳腫瘍一般で結構です)についてお聞かせください。よろしくお願いします。
回答:脳神経外科 教授 松本 健五
転移性脳腫瘍は脳以外に原発巣をもっており。脳転移巣の状況に加え、その原発巣の種類や進行状況あるいは他臓器への転移巣の有無などを考慮の上で治療方針、治療期間、内容を決定します。

その際、脳神経外科医はもとより原発巣に関わる医師、そして患者様およびそのご家族の方々とが密接に相談、協力し、患者様本人のQOL(生活の質)を最も重視した選択がなされるべきと考えます。

脳の検査はMRIで済みます。それよりも原発巣、他臓器の転移の検索、評価の方が重要となります。(胸部X線、喀痰細胞診、肺CT、腹部CT、骨シンチグラフィーなどなど)転移性脳腫瘍の手術適応は一般的に脳の病巣が単発性で、生命の危険が迫っていること、原発巣が制御されている、または制御可能で安定していることが原則とされています。

ただし、多発性でも1回の手術で摘出可能な場合や、そのうちの1個が生命の危機と直結している場合手術も考慮します。多発例、広範な全身転移例で余命の短い場合は手術療法は行わず、ステロイド投与、放射線治療または化学療法(腫瘍の種類により)が推奨されます。

放射線療法はガンマナイフ治療など定位放射線治療が主流となっています。腫瘍の直径が3cm以下で3個までの場合ガンマナイフ、4個以上は従来の全脳照射、3cm以上の場合では手術と全脳照射が考えられます。あくまで、治療目的は患者様に過度の医療負担をかけずに脳転移巣の局所制御を心がけること考えます。

予後については、一般的に、診断後何も治療をしなかった場合の平均生存期間は1〜2ヶ月程度です。また放射線治療のみでは3〜4ヶ月、手術および放射線治療を行い得た場合でも術後生存期間は平均10ヶ月に過ぎません。

患者様やご家族にとって残された時間はわずかであり、その期間を以下の有意義に過ごせるかがきわめて重要な課題となります。希望があれば早期の自宅療養も考慮に入れます。

退院後の外来通院時は、病巣のチェックで1〜2ヶ月に1回MRI検査を行います。転移性脳腫瘍がうまく制御された場合でも、死因の80%以上が原発巣の再発や、それに伴う肺炎などの呼吸器合併症であることから、全身状態を把握しながら経過観察を行うことも重要です。

主治医の先生とよく相談して下さい。ご本人の気持ちを最も尊重して。苦しいけど一番苦しいのはご本人です。皆で助け合ってください。そして悔いを残さないように。
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