孤立性心房細動といって基礎心疾患を有さない”健康な”心臓に生じる心房細動の場合には、この不整脈が心機能に悪影響を及ぼすことはないのです。しかし高血圧を有する場合や基礎的心疾患(弁膜症や虚血性心疾患,心筋症など)が存在する場合にはその限りではなく、心拍コントロールや心房細動自体を正常な洞調律と呼ばれる心拍に戻す治療を行う必要が出てくることがあります。
また心房細動が繰返し起こったり、慢性的に持続したりする場合には収縮を失って拡張した左心房内に血栓形成がおこり、この血栓塊(の一部)が飛散して脳血管や他の臓器を栄養する動脈内に流れ、詰まって梗塞とよばれる病気をおこすおそれがあります。心房細動の方が脳梗塞を発症する確率は正常洞調律の方が脳梗塞を発症する率の数倍とも言われます。
このような観点から心房細動に対しては以下の治療法が適応されます。
| 1. | 基礎心疾患を有さずに動悸などの自覚症状が乏しい、あるいは軽い若年(60歳以下)の方の心房細動に対しては血栓塞栓症をおこす率も低いので経過観察でよいと考えられる。動悸息切れと言った頻脈による症状が強く出る場合には抗不整脈剤や心拍数調整剤を内服していただく治療が適用される。 |
| 2. | 基礎心疾患を有する場合にはもとになっている病気(弁膜症や心筋症、高血圧症など)に対する治療がまずもって考慮されるが、あわせ、心拍調整のための、あるいは心房細動→洞調律復帰をねらった薬剤治療が行われるべきである。 |
| 3. | 高齢者や高血圧、糖尿病などの基礎疾患をお持ちの方、あるいは実際に血栓塞栓症の既往がある方に対してはワーファリンとよばれる抗凝固剤で左心房内血栓形成を防止してゆく治療が選択されます。 |
| 4. | 上記のごとき抗不整脈剤や抗凝固剤を内服しつづける治療は継続的な努力も必要で、特に基礎心疾患をもたない方ではなかなかやっかいと受け取られます。 最近では発作性心房細動の方に対してカテーテルを使って左心房の特定の部位の電気伝導を押さえるような焼灼を実施し、心房細動を”根治”しようとする治療が開発されてきております。現状においてはまだまだ実験的な治療であり、効果も不確実性が高くて一般に普及するには至っておりませんが、期待されるべき治療法でしょう。 |
| 5. | 弁膜症などの基礎的疾患を有する方で手術(弁置換術など)を必要とする場合には、あわせ心房細動根治手術(メイズ手術)を受けると70%以上の確率で心房細動が根治できる事がわかっています。ただし心房の収縮力は落ちてしまいますので、やはり抗凝固剤は必要にはなります。 |
以上簡単に御説明いたしました。御面倒でなければ
私のホームページの不整脈の項を御参照下さい。