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no.0000005527

バセドウ病で手術を勧められています。

相談: (62歳 男性)
30歳の息子に関してのご相談です。先月、糖尿病の?型と判定され、指示された通りにインシュリンを使用しています。今回、更に「バセドウ病」との診断がありました。検査数値はTSH0.002未満、FT37.8、FT42.8です。医師から「取りあえず1日3回服用するように」とインデラル10mgを渡され、「甲状腺の薬は白血球が減るので、手術の方が良いのでは?」というような説明を受けました。

薬の説明がなかったので調べてみると、血圧の治療剤のようです。この病院では甲状腺科がないので、との話もでたとのことですが、余りに急な話に不安を感じたので、是非共先生のお話を伺いたく、宜しくお願い申し上げます。
回答:甲状腺科 教授 宮下 和也
記載されている検査値からは、甲状腺中毒症(=甲状腺ホルモンが過剰な状態)とまでは言えますが、バセドウ病による甲状腺機能亢進症かどうかは、これらの検査値のみでは診断できません。

バセドウ病による甲状腺機能亢進症と診断するためには、以下の条件が揃う必要があります。
(1) 甲状腺が全体にほぼ同じように腫れていること(=腫瘍がないこと)を、エコー検査等で確認する
(2) TSHレセプター抗体TRAb、または、甲状腺刺激抗体TSAb、が陽性である
(3) (2)が陰性の場合は、甲状腺ヨード摂取率が高値であること(放射性ヨードRIを用いて、甲状腺へのヨードの取り込みを検査して、正常よりも高値であること)

今回の場合、上記の条件を満たして、確定診断が下されたかどうかはっきりしません。診断が正しいと仮定して、I型糖尿病とバセドウ病の合併は時に見られますが、すぐに甲状腺の手術を必要とするかどうかは疑問です。

抗甲状腺剤(=甲状腺ホルモンの合成を抑える薬剤)には、MMI(=メルカゾール)とPTU(=チウラジール、プロパジール)の2種類があります。確かに、いずれも、副作用で、白血球減少(とくに顆粒球減少)を生じることがあり得ますので定期的な血液検査(投与開始後、少なくとも初めの2ヶ月間は2週間に1回、その後も定期的に、白血球数・白血球分画を検査する)が義務付けられています。

しかし、その副作用の発現頻度は非常に稀ですし、万一生じたとしても、定期的に検査を行っていれば、早期に発見されますので、適切な治療を行なえば大事には至りません。したがって、非常に稀な副作用である白血球減少を理由に、抗甲状腺剤の投与を行わないというのは、余りにも短絡的と言えるでしょう。

インデラルは、甲状腺機能亢進症による手の震えや動悸・頻脈を抑える目的で処方されたものと考えられます。根本的な治療薬ではありませんので、単独では十分な効果は期待できません。

バセドウ病による甲状腺機能亢進症の治療法には、以下の3種類の治療法があります。
(1) 抗甲状腺剤の内服
(2) 放射性ヨードRI 治療
(3) 外科手術

それぞれの治療法の利点と問題点は、回答集に載せてありますので、ご参照ください。日本国内で最も一般的に行われるのは、抗甲状腺剤の内服 です。米国などでは、RI治療が良く行われます。外科手術は、抗甲状腺剤やRI治療が奏功しない場合などの際に選択するのが一般的です。

どの治療法を選択しても、誤りと言うことはないのですが、はじめから手術を奨めるのは、標準的ではありません。今回の場合、専門医不在のようですので、早急に、甲状腺専門医を受診することを強くお奨めします。
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