相談:
(57歳 男性)
腎臓病と温泉についてご相談いたします。現在CCRが、15〜20ml/分の状態が1年ほど続いております。(腎疾患が発症して10年程たちます)主治医からは、10ml/分以下になったら、透析の目安と言われています。
定年まで2年ほどですが、元気なうちに、海に近い温泉地区に移住して、温泉に入りながら好きな海釣りをして、のんびり暮らしたいと考えています。インターネットで調べたところ、腎臓病に効果のある温泉を勧めるドクターもいれば、逆の意見のドクターもおります。アドバイスをよろしくお願いいたします。当然ではありますが、最終判断は自己責任であることは、承知しております。よろしくお願いいたします。
こんにちは。ご質問の趣旨は理解いたしました。ただ、ご存じかと思いますが、私ども近代医学の医者ははっきりしている事しか申し上げられません。治療や生活療法に対し経験的にいろんな感触を持ってはいても、いい事もあるし、悪い事もある、というのでは紹介さえできかねます。
そういう意味で、今通われている病院の主治医にも聞いてみられるといいかと思いますが、「定年まで2年ほどですが、元気なうちに、海に近い温泉地区に移住して、温泉に入りながら好きな海釣りをして、のんびり暮らしたいと考えています。」というご希望をおっしゃられれば、「それはいいですね。私もそういう老後を送りたいものです。ただ、くれぐれも血圧には注意して、熱い湯に入るのや長湯は避けて下さい。それと、温泉の湯を飲むのはやめた方がいいですよ。」くらいの事しか言えないのではないかと思います。
敢えて言えば、特にいい点としては、リラックスできる、ということでしょうか。 特に、いったん透析が始まると、いろんな意味で機械に依存する生活が始まります。腎臓が本来毎日血液を浄化してくれているところをたった4時間で2日分を一気に浄化し、しかもそれを盆暮れ正月なく半永久的にしていく訳ですから、既製服に体の方を合わせながら生活するようなものです。ストレス対策は大事です。
ただ、透析直前の腎臓病に積極的な効果を期待されるのはどうかと思います。少なくとも、それを裏付けるようなデータを小生は存じ上げません。逆に悪い点は、熱い湯に入ったり長湯をすると血圧が上がってしまうというのは誰でもわかる事ですが、それは常識的に注意すれば避けられる事です。また、腎不全で貧血があるでしょうから、ちょっとした事でのぼせやすく、ふらついたり失神やすいという事もあります。ただ、これも注意してさえいれば、早めに対処できるでしょう。
透析開始後は透析の針の穿刺痕に感染を起こすのは何としてでも避けなければならないので、透析の日は入浴しない、あるいは穿刺部はラップして入浴するなどの注意が当然必要です。
透析開始後は皮膚の強い掻痒感を訴えられる事が多いので、人にもよりますが必ずしも温泉が快適なものであるかどうかわかりません。刺激されてなお一層痒みがひどくなるという事もあるでしょうし、温泉にはいると痒みが薄らぐという人もおられました。泉質とその人の皮膚の状況次第だと思います。
「元気なうちに」とおっしゃいますが、たとえ透析を始めても十分ずっと元気です。透析後を見据えて生活設計を考えて下さい。というか、透析のためだけでもあまり辺鄙なところでは透析施設が限られます。いわんや合併症が出てくれば総合病院が近くにある事は必須です。また、同じ患者さんやスタッフと週3回も顔を合わせますから、合宿生活をしているかのような感さえあって、人間関係のもつれから転院という事も少なくありません。ご自分のご性格などとも合わせ、特に転居に関しては慎重にお考えになる事を勧めます。以上、あまりいいアドバイスはできかねますが、ご参考になれば幸いです。
追伸 :
これも注意すればすむ事だとは思いますが、海釣りや温泉のある場所は岩場等も多いかと思います。腎不全で骨ももろくなっておられますので、ちょっとした事で骨折等が起きやすいので、くれぐれも転倒等には気をつけて下さい。