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no.060612005928

糖尿病があり、腹膜透析導入後に急に悪化しました。

相談: (36歳 女性)
72歳の父事で相談いたします。父は糖尿病を患っていましたが、昨年体がむくみ始め病院に行くと腎臓がかなり悪くなっているとの事で透析をする事になりました。ただ1年前に検査した時は腎臓がなんでもなかったので、急に悪くなった場合良くなる事もあるという事で腹膜透析をする事になりました。

その結果むくみも取れたのですが、その後入院していてもなかなか良くならず腎臓がほとんど機能してない状態になった為、血液透析に変えましょうと言われシャントの手術をする事になりました。手術をするため体力が回復するのを待っていましたが、だんだん食事も取れなくなり一日中寝てばかり。たまに起きたりもしますが、食事は痰もひどかったため、気管支に入ると大変との事で止められ食べられないと言う日が続きました。そのうち血圧が下がって危険な状態と言われ、点滴で血圧を上げ、点滴で栄養を送るようになりました。その間に腹膜透析も「ゆめ」と言う機械で4回行うようになり、今も点滴で血圧を保っている状態で92くらいから100くらいになっています。

今は痩せて骨と皮といった状態ですが、本人はおなかがすくようでおにぎりが食べたい等言います。こちらとしては何かなめさせるだけでもしたいのですが、危ないからだめと言われてしまいます。体力をつけさせたいので、おもゆ等少しづつあげたいと思っているのですがあげない方がいいのでしょうか?

でも点滴だけの栄養だけでは体力もつかず、良くもならないのでは?と心配しています。透析を始めてまだ一ヶ月ですがこんなに悪くなる事はあるのでしょうか?透析が合わないと言う事もありますか?長々となり申し訳ありませんが、何かアドバイスがありましたら宜しくお願い致します。
回答:透析科 教授 石川 清隆
お父様の身の上に降りかかった突然のことで、さぞかし不安な1ヶ月を送られている事と存じます。また、せっかく入院したのに、お忙しい中を何とか時間をやり繰りして病院にお見舞いに行っても、一進一退じり貧の先の見えない状況が延々と続き、不信感をつのらせていらっしゃるのかと思います。

まずお聞きしておきたい事が数点ございます。
糖尿病で御通院になっていたとの事ですが、今度入院する前までの治療はうまく行っていたでしょうか。また、糖尿病で特に障害が出てくる部位としては腎臓の他に、心臓、脳、目、四肢末梢の循環・神経障害等がありますが、それらの具合はどうなのでしょうか。

メールの文面を読ませて頂く限り、単に腎臓だけの問題ではないように思います。お父様の臨床データも知らず、これまでの長い経過も存じ上げないので、あくまで一般的な話としてですが、糖尿病で腎不全にまで到った状態というのは、臨床的には糖尿病の末期状態です。

普通腎臓が悪くなるから透析を始める事になるのですが、それは単に腎不全に対する治療ができるだけで、糖尿病自体あるいはその合併症が後戻りして良くなる訳では決してありません。腎臓自体も良くなる訳ではなく、腎臓が普通に機能しないからその代わりに腎臓の機能を一部肩代わりするのが透析治療です。雨が降っても晴れにする事ができないから、せめて傘を差して体が濡れないようにするのと似ています。

腎不全のせいで、血糖値そのものは低下傾向になりますが、代謝異常そのものが改善する訳ではなく、栄養状態も不良です。

ただ、敢えて言えば、血圧が低いから腹膜透析を続行していらっしゃるのでしょうが、腹膜透析をする事によって腹膜から栄養分が一部漏れる可能性があり、また腹膜透析液のために血糖値が乱れ、栄養状態が更に乱れる可能性があります。

ですので、小生なら腹膜透析は避けて、当初からカテーテルを挿入して、血液透析をすると思います。もし、血圧が低くて血液透析が難しいようなら、普通の2日ごとの4時間透析ではなく、体の負担を分散するために連日の短時間透析、あるいはゆっくりゆっくりする24時間持続濾過透析を考慮してもいいかも知れません。ただ、これらができるかどうかは病院の体制如何による所が大きく、スタッフの少ない所ではやりたくともできないでしょう。

また、当初から申し上げておりますように、たとえそれをやったところで、末期と言っても過言ではない状態が多いので、意味がないと思われる事も珍しくないです。

> 体力をつけさせたいので、おもゆ等少しづつあげたいと思っているのですがあげない方がいいのでしょうか?
体力をつけさせたい、というお気持ちそのものは重々わかるのですが、おもゆを飲むと体力がつきますか。焼け石に水という状態かと思います。それよりも、もし間違って気管に入れば窒息となり、そこまでにならなくとも肺炎を引き起こす危険性が十分にあります。もっと言えば、特に何もしなくとも、唾液が気管に入って肺炎になってしまうかも知れません・・・。

> でも点滴だけの栄養だけでは体力もつかず、良くもならないのでは?と心配しています。
普通の点滴では栄養はつきません。単に水分とビタミン剤や抗生剤等の薬剤を投与できるだけです。しかし、首や胸、あるいは足の付け根の太い静脈に管を入れてする高カロリー輸液(IVH)なら、十分栄養が取れます。2000カロリーや3000カロリーとる事も容易です。腹部の手術でしばらく何も食べられない患者様でも十分太ります。ただ、血糖管理はすこし難しくなりますが・・・。

>透析を始めてまだ一ヶ月ですがこんなに悪くなる事はあるのでしょうか?透析が合わないと言う事もありますか?
最近は糖尿病で透析導入する患者様が多くなってきましたが、先ほどから申し上げているように、糖尿病で透析に到るという時は全身の臨床状態ももう末期状態という事が少なくないため、以前はあまり積極的には透析を始めないようでした。また、現在もたとえ透析を始めても、他の病気から透析になった人に比べて生存期間はそれほど伸びません。
一般論ばかりしか申し上げられませんが、お父様の場合、特に心臓も悪そうなので、透析中の急変もあり得る血液透析よりも腹膜透析を選ばれているのだと推測いたします。栄養状態に若干影響の及ぶ腹膜透析ですが、血圧への影響を考えれば血液透析よりも妥当かと小生も思います。

栄養状態は透析のせいと言うよりも、そういう糖尿病の末期状態とお考えになった方がいいように推測します。今まで痩せが目立たなかったのは腎不全で全身的にむくんでいたからではないのでしょうか。

ただ、危険だからおも湯は避けるべきだとは思いますが、お話を読んでいると、何もしないでも危ないような状態とも思えるので、意識のあるうちにご本人の望まれる、「何か食べたい」という希望を叶えてあげるのも、全然違った意味で意味のある事かと思います。

その場合は、「危険性を認識しつつ、本人のためにそうしてやりたい」というご家族の強いお気持ちをそのまま主治医にお話になればいいのじゃないでしょうか。看護婦さんに言うだけでは止められるだけですが、主治医が認めれば、ご家族と患者様ご本人の自己責任という事で可能になるかも知れません。もし冷たく聞こえたら、謝ります。

推測ばかりで勝手な事をいろいろ申し上げました。少しでもお気持ちを害すような事をもし申し上げていましたら、どうかお許し下さい。少しでもご参考になれば幸いです。
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