相談:
(78歳 女性)
78歳の母の認知症についての相談です。母は昨年末突如、ひどいもの忘れの症状を呈し、二月にもの忘れ外来を受診、三度にわたる詳しい問診や血流検査、CT、MRI検査等を経て、極初期のアルツハイマー型認知症と診断されました。現在アリセプト(一般名:塩酸ドネぺジル)5ミリとイチョウの葉エキスを服用。いまのところ簡単な買い物や家事などに問題はありませんが、この二ヶ月弱の間にも病状は急速に進行し、5分前に話したことも忘れるようになってしまい、本人もすっかり当惑しています。
治癒することのない病気とはわかっていますが、少しでも進行を遅らせることがあれば何でもしたいと思っています。遠志、当帰といった生薬やカギカズラ?が効果があるということを聞きかじったこともあるのですが、実際のところは全くわかりません。母は155センチ40キロ、食が細く、声も小さい感じです。血圧は64と106。若い頃から気にやむタイプで非社交的な性格です。
いつも疲れているようで時々大きなため息をつき、5年以上も前から真夜中に目覚め、その後は浅くしか眠れないようです。甘草の入っている薬を飲むと血圧が上がったというようなことを以前話していたような気もします。現在母は父と二人暮らしです。母の病気に有効な可能性のある漢方薬があれば教えていただけないでしょうか?よろしくお願いいたします。
故矢数道明先生が論文や御著書で、老人性認知症の処方として「正心湯」を紹介せれたことがありました。私も90歳代の男性の方に投与し、かなり効果があった経験があります。この方は喘息などの持病もお持ちでしたが、漢方治療を主として99歳まで生存されました。正心湯の構成生薬は、当帰・茯苓・地黄・羚羊・人参・酸棗仁・遠志・甘草です。確かに当帰とか遠志とか釣藤鈎(カギカズラ)は認知症に有効だという報告があります。
エキス剤では当帰芍薬散、人参養栄湯、帰脾湯、釣藤散に配剤されており、認知症にも使われます。また真武湯なども体力が弱っている時には有効です。いくら認知症に使われるといっても、合わなければ使えません。胃が悪くなったり下痢や便秘となり体調を悪化させることもあります。
漢方治療というものは、状態像に応じて種々処方を変えていってこそ効果を上げることができるものです。出来うることなら漢方専門家に任せられることをお勧めします。漢方専門家を探す方法としては、漢方製薬会社にたずねられたら参考になるかと思います。ちなみにツムラ、コタロー、オースギ、松浦といったメーカーがあります。